海外就職への鍵 インフォメーショナル・インタビューを攻略しよう 001

この記事では、日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、北米ではとても一般的なインフォメーショナル・インタビューという方法について数記事にわたって紹介していきます!

外国人にはハードルの高いネットワーキング文化

少し意外かもしれませんが、カナダや英語圏での就職活動では、「コネクション」、つまり人との繋がりがとても重要です。私自身も昔の同僚の紹介で面接のチャンスを得たり、就活仲間から「イベントで知り合った人事担当とコーヒー片手に話が盛り上がって就職が決まった!」なんて話を何度も聞いたことがあります。そのため、カナダでプロフェッショナルとして働いている人たちは、「ネットワーキング」と呼ばれるコネクション作りに普段からかなり力を入れています。仕事の後に地域の交流会に参加したり、大学や企業が開催するワークショップに参加してネットワークを構築したり、LinkedInなどのオンラインプラットフォームで繋がったりと方法はいろいろです。こうした活発なネットワーキング文化は、キャリアアップを目指す転職が一般的な雇用文化が生んだものかもしれませんね。

でも、ネットワーキングって、留学生や移民のようにコミュニティの外から来た人間にとっては正直なところかなりハードルが高いのも事実。現地での知り合いが圧倒的に少ないし、英語は第二言語。ネイティブや地元の仲間同士が共通の話題で盛り上がる中、全く新参者の自分がいったい何者なのかをアピールするのは想像以上に難しかったりします。コミュニケーションに自信がある人や、自分をすでに確立できている人にとっては楽しい場所かもしれませんが、特段社交的でもない私のような普通の人間が勇気を振り絞ってイベントに参加したところで、誰かと話さなくてはというプレッシャーを感じ、帰るころにはぐったり、特別手応えも感じられず就職へのモチベーションが余計に下がってしまう、なんてこともたくさんありました。

まあこれも、回数をこなしていくうちに自分なりのやり方が見つかってくる類いのものなので、私なりに見つけた準備方法を別記事で紹介したいと思いますが、今回はいくつかあるネットワーキングの方法の中でも比較的始めやすく、それでいて効果抜群の「インフォメーショナル・インタビュー(Informational Interview)」について詳しく紹介したいと思います。

インフォメーショナル・インタビューとは、求人情報を直接探すのではなく、その分野で働くプロフェッショナルに一対一で話を聞く、インタビューをすること形式のもの。特定の職業や業界についてのリアルな情報やアドバイスを得る方法として、実はかなりおすすめ。まず、相手にしっかり「自分のための時間」をとってもらった上で話せるので、相手のことを深く知り、自分のことも伝えやすいです。また、この方法を繰り返していくことで業界についての学びが深まり自分のキャリアに対する理解も深まります。さらに、インタビューに応えてくれた人からの紹介で興味のある分野でのコネクションができ始めます。もちろん、回数を重ねるほど面接の練習にもなります。外から来たばかりだと、その業界特有の「感覚」や「言語」を理解するのは本当に難しい。でも、インフォメーショナル・インタビューを通じて人との繋がりを構築していくことで「外部の人」から「コミュニティの中の人」へと徐々に変化していくことができます。

このようにメリットたくさんのインフォメーショナル・インタビュー、カナダでプロフェッショナルとして就職を目指す人、キャリアを積み上げて行きたい人はぜひ攻略したい方法です。

インフォメーショナル・インタビューって何のためにするの?

上でも述べましたが、ネットワーキング初心者でもコツをつかめば効果抜群のインフォメーショナル・インタビュー。メリットをもう一度整理します。

1. 現場のリアルな情報収集

現役のプロフェッショナルから直接話を聞くことで、職場の雰囲気や業務内容を深く理解できます。企業のウェブサイトなどでは見えてこない実際の仕事環境や日常業務の詳細を把握でき、よりリアルな職場の実態を具体的にイメージできます。また、インフォメーショナル・インタビューをうまく活用すると、その職場が直面している重要な課題や優先事項(IP=Important point\Pain Point:詳しくはこちらの記事を見てね)を知ることができ、面接などで相手の痒いところにアプローチできるといった大きなアドバンテージを得られます。

2. 企業文化の理解の深化

インフォメーショナル・インタビューは、企業文化を深く理解できる貴重な機会。公式ウェブサイトや求人広告では知ることのできない職場の雰囲気やチームのダイナミクスを把握し、本当に自分に合った企業かどうかをより正確に判断できます。

また、面接の場では求職者がチームにとって「good fit」かどうか、つまりチームや組織にうまく「合いそうな人物か」を判断されます。「fit」というふわっとした感覚のためなかなか対策が難しいのですが、その企業文化や雰囲気を内部の人がどのように表現しているかを知ることで、うまく自分が「良いフィット」であることをアピールするヒントになります。カナダでよくある企業文化について別の記事でまとめていますので、ぜひ読んでみてくださいね!

3. 隠れた求人情報の発見

個人的に驚いたことでもあるのですが、カナダでは公にされていない求人や求人系情報が実は多く存在します。また、カナダの雇用市場に限らず、ハーバード・ビジネス・レビューやキャリア関連の調査によると求人の約70%から80%は公開されていないとされています。インフォメーショナル・インタビューは、この「隠れた求場」にアクセスするよい方法です。求人が公開され競争が激化する前に準備を進めることで他の求職者よりも一歩先を行くチャンスを得られます。実際に私も、インフォメーショナル・インタビューを通じてその職場での求人掲載予定を早くに知り、自分のレジュメを人事担当に手渡してもらいそこから面接に繋がりました。

4. ネットワーキングの強化

インフォメーショナル・インタビューは、情報収集だけでなくプロフェッショナルたちとのネットワークの構築にも役立ちます。LinkedInの調査によると、全体の求人の約40%がネットワーキングを通じて発見されると報告されています。インフォメーショナル・インタビューを行った後も継続的にフォローアップすることで、その人にメンターとしてアドバイスをもらったり、キャリアアップの機会に繋がったりすることがあるので、積極的に交流を計りましょう。

5. 就職活動の戦略見直し

業界内で現職のプロフェッショナルから具体的なアドバイスを受けることで、履歴書の書き方や面接対策など、より実践的な就職活動の戦略を立てることができます。レジュメやカバーレターといった応募書類のブラッシュアップや面接準備がより効果的に。また、インフォメーショナル・インタビューにレジュメを持参することで、建設的なフィードバックをもらえることもあり書類選考をパスできる可能性がグッと高まります。

6. 新たなキャリアパスの発見

カナダ、また一般的に北米社会では、職業に就くために必要な資格や学歴が非常に重視されます。日本以上に学歴・資格が重要視されることも多く、希望する職種に必要な要件を早い段階で把握することが重要です。インフォメーショナル・インタビューを通じて、実際に希望の職に就いている人から話を聞くことで、自分の現状と目指す職種とのギャップを明確にし、どの資格やスキルを取得すれば良いかがわかります。また、具体的な資格やスキルを尋ねることで、細分化されたキャリアパスが明確になり、これまで知らなかった職種やキャリアの選択肢を知ることもでき、キャリアの幅を広げることが可能です。

7. 自己認識の向上

インフォメーショナル・インタビューを通じて得られるフィードバックは、自分のスキルやキャリア目標に対する新しい視点をくれます。自分では気づかなかった強みや改善点を把握することで、より実効性のあるキャリアプランを策定するための指針となります。また、自身の考えを繰り返し言語化しフィードバックを受けることで、自己認識が深まり、面接の場でも自信を持って自分をアピールできるようになるでしょう!

いかがですか? いいことづくしのインフォメーショナル・インタビュー。知らない場所、知らない環境、知らない常識の中で戦わざるを得ない留学生や海外就職希望者にこそオススメの理由をお分かりいいただけたかと思います。次の記事では「実際どのように進めるの?」という疑問にお応えしていきます。

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